2018年12月5日水曜日

マイクロマウス2018

この記事はI.Sys Advent Calendar 2018の5日目の記事です。


お久しぶりです。makoです。

1年ぶりの投稿になりますが、今年度の機体紹介と全日本大会の振り返りをしたいと思います。
























マシンデータ


機体名Lumaca
寸法(幅x長さx高さ)135x155x90mm
重量350g
マイコンRX71M 100pin
モータRacerstar 8520 3直列, ADH300L 5800kv
ファンFMS 50mm 11ブレード
エンコーダAEAT8800
モータドライバLM27222SD+CSD87330Q3D
ジャイロICM20689, BNO-055
ラインセンサLBR-127HLD
マーカセンサLBR-127HLD, SFH4550+ST-1KL3A
バッテリTurnigy Graphene 500mAh 3S
ギア比M0.3 97:12
タイヤ大径ソフトスリックタイヤセット(クリヤー)
UILEDx8
フルカラーLED
AT-1224-TWT-5V-2-R(ブザー)
SF303GJ26(5方向スイッチ)

特徴

本機体の一番の特徴は背中にある大型のダクテッドファンです。ラジコンのジェット機なんかで使われているやつです。上位のマシンの一部はグリップ力を上げるために小型のドローンモータとプロペラを搭載し、上方向の推力で強制的にダウンフォースを発生させています。しかし、そのまま真似ても面白くないので少し違う方法で推力を発生させることにしました。ちなみにロボトレースでは吸引機構が禁止されていますが、このような機構は今のところセーフみたいです。

ダクテッドファンのメリット
・推力つよい
・ファンをダクトが覆っているので安全

ダクテッドファンのデメリット
・電流バカ食い
・重い
・超パワーで吸い込まれる、危ない

以下の動画はこのダクテッドファンの実験の様子です。

















実際は真下に基板がありエアフローが良くないので80gしか推力が出ませんでした。

2つ目の特徴は高級なコアレスモータではなく安価なドローン用モータを使用したことです。このモータは定格電圧が3.7Vしかなく、3セルのバッテリーで駆動する場合Duty比を低くしても発熱してしまうので、3つ直列につないでいます。また、それらのモータに耐えられるようモータドライバはFETドライバとFETアレイを組み合わせて使用しました。



















ドローンモータを複数使用することで高級モータに負けないくらいのパワーとスピードが出ますが、安定性と耐久性に欠けます。高級モーターはフィードフォワード制御だけでもきれいに目標値に追従させることが可能ですが、ドローンモータの複数使用はフィードフォワード制御とフィードバック制御を組み合わせてもなかなかきれいに追従してくれません。2年前にも同じようなマシンを作って反省したはずなのに人はなぜ同じ過ちを繰り返すのか。

3つ目の特徴は先読み用のマーカーセンサを搭載したことです。通常のマーカーセンサの位置では、マーカーを読んだ時点で既にマシンはコーナーに突入した状態になってしまいます。しかしコーナーに突入する前にマーカーを読むことができれば、マイクロマウスの壁切れ制御と同じように距離補正ができ、直線で減速しきれずにコースアウトすることを防ぐことができるはずです。しかし、ソフトウェアの開発が間に合わなかったため、本当に効果があるのかは謎のままです。

4つ目の特徴はダクトやモータマウントにMMDの3Dプリントを利用しました。材質はMJFという素材で、ナイロンと比較すると、値段が少し高い代わりに精度と強度が優れています。アクリルに比べると精度が劣りますが、ロボトレースに使用する分には十分だと思います。MJFにはPA12とPA12GBの2種類があり、PA12GBの方が剛性が高い代わりに約36%重量が増えます。



さて、全日本でこのマシンを見た人は気づいたかもしれませんが、上記のマシンデータは全日本大会に出場したマシンとは少し異なります。

というわけで、全日本大会出場時のマシンがこちらです!


















マシンデータ

機体名Lumaca
寸法(幅x長さx高さ)135x155x90mm
重量330g
マイコンRX71M 100pin
モータRacerstar 8520 3直列, ADH300L 5800kv
ファンFMS 50mm 11ブレード
エンコーダMA700
モータドライバTB6612 並列
ジャイロICM20689, BNO-055
ラインセンサLBR-127HLD
マーカセンサOSI5FU3A11C+LTR-4206E
バッテリTurnigy Graphene 500mAh 3S
ギア比M0.5 60:6
タイヤ大径ソフトスリックタイヤセット(クリヤー)
UILEDx8
フルカラーLED
AT-1224-TWT-5V-2-R(ブザー)
SF303GJ26(5方向スイッチ)


ここがだめだよLumacaちゃん


・重すぎ!
前作からまさかの重量3倍増です。設計時は300gは超えないだろうと思っていたのにこのざまです。当然トルクが足りなくなりました。
3DプリントパーツをPA12GBからPA12に変更した結果若干のダイエットに成功しました。

・モーターが回らない!
今回設計したモータドライバ回路は電源6V、PWM周波数100kHzで動作確認したときはきちんと動作していたのですが、Lipo3セル、480khzで動かした瞬間に炎上して黒焦げになりました。原因はFETドライバのデッドタイムがFETの立ち上がり、立ち下りの時間より短いためです。基板が黒焦げになってしまったので、TB6612モジュール基板をジャンパで繋げてなんとか動くようになりました。ちなみにTB6612は2Chのモータドライバですが、DRV8835のような並列使用は想定されていません。しかし、今回はモータのストール電流が大きいので、並列使用しています。それでもモータの定格電流をオーバーしているせいか、右側のTB6612は1度壊れました。

・エンコーダが読めない!
当初使用していたAEAT8800は信号線をジャイロと共有していたのですが、通信プロトコルが特殊で扱いが面倒だったので、MA700という磁気式エンコーダICに変更しました。こちらはSPIで簡単に値が読めました。

・ギアが歯飛びする!
ギアのバックラッシが少し大きいだけでも、マシンが重いとギアが歯飛びします。ガリガリ音を立ててすごい勢いでギアが削れて行きます。ギアのモジュールを0.3から0.5に変更し、トルクを増やすためにギア比も少し大きくしました。モジュールが小さいほうが伝達効率が良くなるのですが、重量級マシンでは効率より強度を優先すべきです。

・ファンの効率が悪すぎる!
500mAhのバッテリーでもファンを全力で回すとすぐにバッテリーがなくなります。ダクテッドファンはエアフローが悪いと極端に推力が下がるようなので、モータを上側にして、ダクトも既製品を使用しました。その結果推力が3倍にはなりましたが重心がかなり上になってしまいました。


・暴走する!
原因不明、ごくまれに暴走します。暴走したときの衝撃で、先読みマーカセンサが吹き飛びました(まだ見つかっていない)。


全日本マイクロマウス大会2018

全日本大会の結果は3走ともすべてリタイアです。5年間ロボトレースをやってきましたが、未完走は初めてです。実は出走前にマイコンが壊れて異常発熱していることが発覚していましたが、なぜかモータもセンサも動くのでそのまま出走しました。1走目はR10のコーナーで途中コースアウト、2,3走目はスタートボタンを押した瞬間マイコンがリセットを繰り返すので走れませんでした。



来年の予定

次の大会は熱田の森なので、基板を再設計して出直してきます。





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